9/21(金)
朝から雨・・・。
妻と追い詰められているような緊張感でレディースクリニックに向かう。
妻の血液を採って結果が出る間40分程待ってから先生の診察開始。
「卵巣、○○病院行ったんでしたっけ?どうでした?」と聞かれ、
・後腹膜腫瘍で悪性の疑いあり
・2件断られ国立ガン研究センターに行っている
・検査入院の日程
・悪性の時は抗ガン剤治療をする
そして一番重要な
・抗ガン剤治療の前に受精卵の凍結をしたい
ということを伝えた。
「・・・なるほど。うーん…」
といってカルテと生理や排卵日の確認をしていたので聞けることは全部聞いてしまおうと思い
私達「腫瘍が邪魔している側が排卵する場合に採卵はできるのですか?」
先生「腫瘍は卵巣じゃないんだよね?左右両方の卵巣で卵はできるから腫瘍を傷つけないように腫瘍が邪魔してない側からとれますね。」
私達「片側からしか採れないとなると卵の数もちょっとしか採れなくてグレードの低い卵しかない可能性はありますか?」
先生「可能性はあります。でも前に奥さんの子宮年齢を調べたら大分若いのでいっぱい採れると思いますよ。ちょっと診察してみましょうか?」
診察中は私は席を外してすぐまた先生に話を聞いた。すると
「今日からお薬だすのではじめましょうか?薬で生理の日をコントロールして、PET-CTで卵が被爆しないようにするので採卵はこの日くらいかな?これなら検査入院や結果がでる間か治療が始まる前に採卵できるでしょう。10個以上採れると思います。」
病院ではじめて聞けたポジティブな言葉に2人で一瞬茫然としてしまった。
私達「してもらえるんですか?」
先生「今日時間あります?本当なら別の日にやるんですが、今から体外受精についての説明のビデオを観てください。」
仕事もあったけどこちらの方が優先なので
「もちろんあります。」とお願いした。
私も採血をして、妻もまた採血をした後
2人で20分程のビデオを観た。
体外受精の方法、メリットデメリット、料金、助成金の申請方法、必要書類。
もう動き出したことなんだと思った。
やらなきゃいけないことだと自然と腹が決まった。
最後に先生ともう一度話をして
次の診察日の予約をして終了。
妻の顔も明るく見える。
「お金迷惑かけちゃうけどいい?私も仕事も頑張るからいい?」
「俺も頑張るよ。できるんだからやろう。ガン研究センターにも連絡しなきゃね。」
国立ガン研究センターに連絡する。
担当の先生からも妻に
「良かったじゃないですか。こちらも妊娠ができるような治療計画を立ててますので。クリニックの先生にも連絡して治療データの共有をするつもりですよ」と言ってもらったようで喜んでいた。
体外受精で妊娠できる確率は30%~70%。
確実じゃない。抗ガン剤治療をした後ならもっと確率は低いだろう。
それでも悪性腫瘍の確率80%と言われた後にとっては勇気付けられるデータだった。
妻も次の予定の検査入院まで不安な中でようやく少し心が軽くなったようで私もホッとした。
9月の病院の予定は終わったけれど書類を用意したり、妻は検査入院までに仕事を片付けたり引き継ぎしたり、採卵までに薬を飲んだりやることがたくさんある。
たった3週間で世界の見え方や命の価値観がガラッと変わってしまった気がする。